元柔道世界チャンピオンが語る「親のための教育論」・後半

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こんにちは。先日の須貝先生のお話し、大変好評でした。
予定を早めまして本日後編をお送りします。

–ということは親の教育が必要ということになりますか?
「先生が本気で怒るのが難しくなっている。反面、親は子どもが可愛いとは思うのに、
学校に全部任せている。そのくせ学校でなんかあったら学校に文句を言いにくる。
そういう人が増えましたよね。僕らの小学校は、自転車乗るのに免許があったんです。
悪い乗り方をすると減点されていって最後には自転車を没収されちゃう」
–免許じゃなくて自転車を、ですか?
「そう。で、家に歩いて帰るけど、親に言えなくてね。学校で怒られて、
また家でも怒られると思うと言えない。でも『自転車どうした?」って言われると
正直に言わないとならない。んで案の定こっぴどく怒られて、それで親と一緒に学校に
謝りに行く訳です。でもそれが普通だった。今は逆になってる人もいますもんね。
どうしちゃったのかな、と思いますよね。甘いというかね。子どものためを思えば叱る時は叱る。
うちは女の子が中学生になっても悪い事した時は殴ってましたよ。
それでも今は友達みたいになってますからね。素直に育ってくれたというか。
親が『子どもにこれを言ったら傷つく』とか気を使う人もおかしいと思いますよね。
今、僕が親になって、まあ子どもの頃に親にガミガミ言われたあのときの親の気持ちが
分かってきましたよね」
–小学校からスポーツを、というのはいかがでしょうか。
「まあ僕の場合は中学校から柔道だけれども、体もだけど心も鍛えられましたよね。
あまりに辛くても目標があればがんばることができる。それの達成感が得られて成長するとか、
苦難から逃げ出さない精神力を養うのにスポーツは最適だと思いますよね。
それでもまあ親が子どもに押し付けちゃならんと思うのです。子どもがやりたいと思う事が
あれば導いてあげる。その導きが親の仕事だと思うんです。それには普段からコミュニケーションを
うまく取ってることが大事。『ヤンキースの松井選手って凄いね』
『うん、アメリカでこれだけ選手がいるなかでね』とか『お父さん、サッカーってどう』
『外国の誰それという選手はボールをこんなふうに蹴って凄いね』とか
そうやって興味を持った方に会話を通じて楽しく導くべきなんです。
やるにしても「ただやれ」とか「なんかやれ」ではね。それも先生に任せてしまうのと一緒ですね」
–礼儀とかの面でもやはり柔道がおすすめになりますか?
「いや何の競技でもいいんです。やった努力が心を鍛える。
苦しい思いして、挫折したい、近道を歩きたい、と誰しも思う。今仕事してたって僕ら思いますよね。
でもこれまで言ったように目標を作ってそれを乗り越える。
順位とかは、これはなんでもしょうがない。たまたましょうがなく付けられるもんであって、
頑張る事に意義があるんですよね」
–須貝さんの教育論は、やはり3人のお子さんを育てる中でできたんですか?
「私だって、最初は子育てなんかしたことありませんでしたからね。
見よう見まねでこれがいいかと思ってやってきましたけど、でも間違いは誰しもするんです。
子どもも先生も親もする。「あー間違ったなあ」と思ったら、修正できる。
それに気づいて修正できる親になりたいと思いますよね。
こう言ってても、家では親バカで甘い部分も多々あります。
それでも素直に育ってくれていて、それは良かったなあと思っていますよ」

どうでしょう? 世界の頂点を極めた柔道家でありながら大変気さくで、どこにでもいる
普通のお父さんの感じもしますが、さすがに芯の一本通った教育理論をお話し戴きました。
みなさんの参考になりましたでしょうか。ご意見を頂ければ幸いです。

オマケ・先生がロス五輪金メダリストの河亨柱を、1985年のソウル世界柔道選手権決勝でやぶり、
世界チャンピオンになったときの映像を見つけました。
よろしければぜひご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=KiPDg7QvSLs

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