『先輩、今日は本当にありがとうございました。せっかく応援していただいたのに勝てなくてすみませんでした・・・。現役はこれでおしまいにします!! でも先輩、あれでほんのちょっとですが、中大柔道部に恩返し出来ましたかね(笑)??』
コロナ禍の中、講道館にて無観客で開催された令和2年全日本柔道選手権大会
仕事柄、試合場すぐ近くで観戦していた私にかかってきた一本の電話。先ほどまで目の前で大試合を演じていた後輩の開口一番がこれでした。
北海道代表として念願の大舞台に立ったこの後輩は、過去2度の優勝経験を持つ巨漢・王子谷剛志選手に一歩も引かず、それどころか、体重50キロ差をものともせず、キレッキレの体落としで技ありを奪取。テレビ解説の穴井氏も『あれは、一本と言っても良いですね』と唸らせる美技でした。結果は残念ながらその後に捻り倒され一本負け・・なので、冒頭の電話でした。
学生時代は、とにかくヤンチャ。
矢嶋監督に、就任以来今日に至るまで『最も頭を悩ませた・・・』と言わしめた後輩。正直、監督の苦労は並大抵ではなかったと思います。
そんなに接していないのに偉そうに言える立場ではありませんが、私にとってはとにかく気になる存在。
団体戦で敗れ、ふてくされた態度をOBに注意さえたときに、
『いつも道場で指導している矢嶋監督に言われるなら納得いくけど、道場に来たこともない人にそんなことを言われる筋合いはない!』
と私に泣きながら食って掛かかってきたとき、返答に困ったことは忘れられません。
試合では、居合抜きのような背負い投げで、多くの重量級強豪選手を宙に回したものの、そこで一本取れないと体力勝負で負けて最後にスタミナ切れ・・・。
最後の最後まだ彼らしい闘いを披露してくれたと思います(笑)。ある意味、有言実行。最高のパフォーマンスは発揮されましたね!
記録よりも記憶に残る後輩、
石原隆佑
~りゅうらしいね!~
彼ほど、良きにつけ悪しきにつけ、これを言われる男は会ったことがありません。
これからの人生。その『らしい』を、どう具現化させていくのか、場面場面を楽しみに見守らせていただきます。
そして、それは、全て己次第。
りゅう、まずは、お疲れ様でした!!そして、俺は、見てるよ!!
いまから、ここから、何が起こるかわからないのが人生。だから、面白いんですよね!
永瀬義規