初心忘るべからず

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全日本学生柔道優勝大会の前日(6月27日)、
講道館において全日本学生柔道連盟の教養講座がありました。
今回は、『新しい時代に求められる指導者について考える』というテーマで
日本スポーツ振興センターの勝田隆先生のお話をお聞きしましたが、
非常に素晴らしい内容でした。

柔道界に限らず、現在、日本では、
「スポーツ指導における暴力根絶」を
国として、推進しています。

今回の講話も、基本的には
この“暴力根絶”に関する話でしたが、
もっと根本的に、指導者とはどういうものか、
あるいは、指導者としてどうあるべきかを、
実際の指導者の皆さん、あるいは、
指導者を目指している学生たちに
問いかけ、考える内容だったと思います。

勝田先生の講話は、一方的に先生の考えを話すのではなく、
話の最中に、隣の人との会話の時間をとり、
その会話を通して、一人ひとりが自分のこととして
「指導者」「コーチング」というものを
考えるというような形式でした。

「どうして指導者になりたかったのか?」
「どんな指導者になりたいと思っていたのか?」
「今を分析して、なりたいと思っていた指導者になれているか?」
「これから指導者として、どんなことを大切にしながら
指導を続けていくか? あるいは、チャレンジしていくか?」

これらの項目に対して、講座に参加した皆さんは
実に真剣に、興味深げに、隣り合わせになった人と話し合っていました。
(一人が質問者となり、話を聞く形で)

勝田先生曰く、いい指導者は、いい質問者であり、
聞き上手なのだそうです。
たしかに、自分の周囲を見渡しても、
“素晴らしい”と思われる指導者は、
いずれも聞き上手です。

おそらく、暴力をふるうようになってしまった指導者の皆さんも、
最初は、勝つことだけを求めて暴力をふるう指導者になろうと
思っていたのではないと思います。
勝った負けたではなく、「頑張って良かった」と思える、
そんな豊かな景色が見たくて指導者になったのではないでしょうか。

「初心忘るべからず」という言葉があります。
これは世阿弥の言葉なのだそうです。
意味は、ご存知のとおり、
「学び始めた頃の検挙な気持ちを忘れてはならない」という戒めの言葉です。

今回は「指導者について」の話ではありましたが、
『初心』を思い出し、軌道修正をすることは、
決して指導者に限ったことではなく、
誰にとっても必要なことだと思います。

「どうして指導者になりたかったのですか?」
「どんな指導者になりたいと思っていたのですか?」
「今を分析して、なりたいと思っていた指導者になれていますか?」
「これから指導者として、どんなことを大切にしながら
指導を続けていきますか? あるいは、チャレンジしていきますか?」

「指導者」でない人は、「指導者」を自分の仕事などに
置き換えてもいいかもしれません。
勝田先生の話は、自分自身の「初心」を思い起こす機会にもなりました。
皆さんもぜひ「初心」を思い出してみてください。
そして、周りの人にも、ぜひ聞いてみてください。

スポーツひのまるキッズ事務局 林

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