今日、全国柔道事故被害者の会と全日本柔道連盟の
協議会が開催されました。
この協議会には、全柔連からは宗岡正二会長、
山下泰裕副会長、近石康宏専務理事らが、
そして、全国柔道事故被害者の会からは村川義弘会長、
副会長以下数名が参加され、
柔道の安全についての協議や意見の交換が行われました。
全日本柔道連盟と柔道事故被害者の会が、
公に話し合いの場を持つのは初めてのことで、
全国柔道事故被害者の会からの申し出により、
今回の実現となったようです。
協議会のあとには、全柔連の山下副会長と近石専務理事、
被害者の会の村川会長が共同で記者会見を行いました。
柔道事故で亡くなられている方は、
この29年間で119人いらっしゃるそうですが、
これは公立の中学高校から発表されている数字であり、
私立の学校や、スポーツ少年団などでの事例は
入っていないということで、実際には、もう少し多いかもしれません。
この数字を見ても、柔道という競技が、
やり方次第では、死に至ることもある
危険な一面を持つことは否定できない事実です。
だからこそ、指導者には、安全への配慮や、
医学的な知識を持つことが必要です。
今回の協議会に出席された被害者の会の方たちは、
いずれも柔道事故で大切なご子息を亡くされた方や
重篤な障害を負ったお子様の親族の方々で、
皆様の悲痛な叫びには、胸を締め付けられる思いだったと
山下副会長は話されました。
柔道事故の多くが、稽古というよりは、しごきに近い、
暴力と言えるような状況の中で起きたと言います。
だからこそ、今後、絶対にそんなことが起きないよう、
指導者の意識改革が急務だということを、
全柔連サイドでは、改めて認識したようでした。
昨年より全柔連では、指導者資格の指針を決め、
その実現・徹底に向けて方策を進めています。
しかし、全国に約2万人いる指導者のどこまで、
それが伝わり、浸透させられるのか。
例えば、全国で行われている指導者講習会に関しても、
実際に参加し、熱意と情熱をもって、
真摯に勉強されている指導者の皆さんはたくさんいますが、
何十年も指導してきた自分のやり方があると、
講習会にも参加せず、指導を続けている方もいると聞きます。
それが大きな問題なのです。
柔道を強くすることよりも、
子供たちの安全を第一に考え、
そのために必要な医学的な知識や対処法を
しっかりと身に付ける。
指導者として、何が一番大切なことなのか、
指導者の皆様には、今一度考えていただければと思います。
「全日本柔道連盟と被害者の会は相反する立場のように
思われるかもしれませんが、目的はひとつです。
柔道事故をなくしたいんです」
今回、協議会が行われた理由は、
村川会長の、この言葉がすべてだと思います。
指導者・関係者の皆様、また、保護者の皆様も
必要な知識を身に付け、
柔道事故が絶対に起きない環境作りを
心掛けていただければと思います。
スポーツひのまるキッズ事務局 林