『俺はな、かつては教え子たちに「力必達」という言葉を残していたんだけど、それはやめたんだ。だって、どんなに努力をしても達成できないことってあるんだよね。
だから、それ以来、「盡己」にしている。
どんなときでも、とにかくとことん己を尽くす。これが柔道の教えだって思うんだよね……』
大学を卒業して社会人になったばかりの時、佐藤宣践先生から言われた言葉です。
そして、数年後、近代柔道編集長として憧れの作家・井上靖先生の取材のチャンスをいただいたときに同じことを言われました。
『四高(今の金沢大学)時代、柔道部でそれこそ朝から晩まで稽古に没頭していた私にとって、正直、それまで楽しくてしょうがなかった柔道が苦しくてたまらないものになっていた…。勝たなければならない、結果を出さなければならない…と日々追い込まれ、稽古をどんなにしても最後までその重圧には勝つことができず、非常に辛い思い出でした。
ところが、大学を卒業して新聞記者になって様々な取材をしている時、ある文献で嘉納治五郎師範の「柔道とは己を尽くすことだ」という内容の記事にめぐり合いました。その時、ガーンと衝撃が走ったんです。
なんだ、結果ではない。
自分自身をどれだけ尽くすことができたのかが大切なんだ、ってね。それで、母校の道場に『盡己』という言葉を寄贈したんです』
柔道とは己を尽くすこと。
一言で言えば簡単ですが、むしろ力必達(努力すれば必ず成功する)よりも責任が大きい言葉です。己をとことん尽くせたのかを決めるのは自分自身…。常に責任は自分にあるんですね。
2008年の会社創業以来、会社のエントランスに飾られている『盡己』の文字。
出社退社時に「私は今日己をとことん尽くすんだ!…尽くしたか??」を自問自答しています。
そして、その次にはいつも、「よ~し、いまから、ここから!」と気合を入れています(笑)
ひのまるキッズでは、数えられない感動を与えていただけます。親子の絆がこんなにも深いものとは・・と毎回勉強させられます。
受け身&打ち込みコンテスト、チャレンジマッチ、保護者の部・・・そして各種ブースやアトラクション・・まだまだ新しいことにチャレンジして親子の絆を深めていっていただきたいと思っています。
いまから、ここから、とことん己を尽くすのみです!!!
永瀬 義規