ひのまるキッズ柔道

道場訪問記 第7回 気仙沼柔道スポーツ少年団

気仙沼柔道スポーツ少年団

2019年5月11日訪問

宮城県気仙沼市にある「気仙沼柔道スポーツ少年団」にダイチとリョウの2人で行ってきました!

昭和44年、気仙沼市で始まった気仙沼柔道スポーツ少年団。気仙沼市は東日本大震災で大きな被害を受けました。その未曽有の大震災から8年、道場は子供たちの笑顔があふれていました。

ひのまるキッズでは2015年第7回東海大会にご招待。まだ入社前のことですが、協会スタッフブログにバッチリと当時のことが残っており、しっかり読み込んで当時のことを感じつつ、向かいました。

一生懸命真剣な顔つきで稽古に励んでいます









道場のある気仙沼市は宮城県の最北部、岩手県との県境。

気仙沼柔道スポーツ少年団は、市の中心部にある気仙沼駅から車で10分ほどの気仙沼市総合体育館(ケー・ウエーブ)内の柔道場で稽古をしています。元々は町道場(市が管理)として道場があり、そこで稽古をしていたというが、ケー・ウェーブが出来てから道場を移動、旧道場は建物の老朽化のために取り壊され、跡地は東日本大震災時に津波で流されてしまったそうです。

私たちが道場へ着いたのは稽古開始の少し前、道場には代表の井上剛彦先生と2人の子供がいました。

18時30分の稽古開始時間になると2人で整列し、あいさつ。その後、準備運動。少し時間が経つと小、中学生が少しずつ増え、各々礼と準備体操をして合流し始めた。「いつもこんな感じなんですよ。ケー・ウェーブの立地のこともあり、子供たちは送り迎えなど家族の協力がないとなかなか来られなかったりするんです。来られる日でもそれぞれの家庭によって時間が違ったりするので開始時間を決めて合流していくこの形で行っています。」と井上先生。訪れた日は15名ほどでしたが、多いときは小中学生あわせて30名ほどになるそうです。 稽古内容は学年によって違います。準備体操や腕立てなどの基礎トレーニングが終わる頃には10名ほどが稽古へ合流していました。

それから寝技の反復練習、寝技乱取り、打ち込み、立技乱取りへと移っていきますが、立技乱取りがはじまると低学年の子供たちは投げ込み用マットを準備、マットの上で投げ合いながら技と受身の稽古を繰り返していました。低学年は楽しそうに笑顔で、乱取りをしている高学年と中学生は一生懸命真剣な顔つきで稽古に励んでおり、同じ道場内でも空気が違います。

乱取りはしっかりと受身ができてからということと、柔道を好きでいてほしいという井上先生の考えからです。 高学年や中学生は週2回の稽古(水曜日、土曜日)だけでなく、木曜日に稽古を行ったり、県内の高校や中学に出稽古に行くこともあります。 今回の稽古ではもちろん、乱取りにダイチとリョウも参加させてもらいました! まだ小学生は照れがあり、最初は中学生との稽古に…。体も大きな中学生との乱取りはなかなかつらかったです。(ダイチもリョウも大きくなってきておりますが(笑)。)小学生とも数本ですが、組むことができ、とても有意義な道場訪問となりました。

井上先生もこの道場で柔道を習い、続けてきた一人





「この街にずっとある道場だからこそのこともあるんです。今ここに通っている子はもちろん僕の教え子ですが、そのお父さんも僕の教え子。そして、なんとそのお父さんがこの道場で教えていた時の教え子が僕なんです。」 地域に根差して長く続いてきた道場ならではのエピソードだと思いました。

井上先生もこの道場で柔道を習い、続けてきた一人ですが、その他にもこの道場を巣立ち、この道場に指導者として戻ってきたOBもいます。現在指導者は代表の井上先生を含め7~8名。指導者の皆さんはそれぞれ仕事を持ちながら協力し合って交代しながら稽古を見ている。

震災後は1年間稽古場所であったケー・ウェーブが避難所となっていたため、1年間稽古は休み。使えるようになったのは次の年の4月だそうです。

稽古を再開した時、まだ家族や親戚が被災したまま戻らない子も多くいました。大人がまだ元気を取り戻せないとき、子供たちはそれでも稽古に来て、笑顔で柔道に取り組んでおり、井上先生は子供たちの強さを見たと言います。

井上先生は「気仙沼柔道スポーツ少年団が門下生にとっていつでも帰れる楽しい場所にしたい」という思いを抱きながら子供たちの指導を行っています。

「親子3代にわたってこの道場に関わり、帰ってくる人もいる。ずっとそういう場所にしたい」 最後に、卒団していく子供たちへの思いを聞いてみました。「最近は卒団し地元の中学校へ行っても学校に柔道部がない子が多いんです。

そういう時は何の競技でもいいから一生懸命取り組めることを見つけて続けてほしい。続けることはとても難しいから。それが柔道であったらうれしいことだけど、子供たちの成長が一番ですから」と子供の成長を願い続ける井上先生であった。


道場の名称 気仙沼柔道スポーツ少年団
稽古場所 気仙沼市総合体育館
指導員 井上 剛彦 他
練習日 毎週水、土曜日(出稽古などあり)
月謝 1,500円
後援会費 1,000円