ひのまるキッズ柔道

道場訪問記 第3回 鶴来坂田道場

鶴来坂田道場

2010年10月6日訪問

今年の世界選手権東京大会で、弱冠20歳で金メダリストに輝いた森下純平選手。
その森下選手の出身道場が石川県の鶴来坂田道場だ。
坂田道場は、森下選手以外にも、01年ミュンヘン世界選手権銀メダルの金丸雄介氏や高校チャンピオンの鍛冶宏美さん、小寺将史選手、宮川拓美選手など、多数の好選手を輩出しており、北陸に留まらず全国に名を馳せている道場。好選手輩出の秘密を探ってみた。
鶴来坂田道場

田んぼの中の一軒家といった趣の鶴来坂田道場。1階が道場、2階は坂田家のお住まいとなっている

道場に入ると、子供たちの元気な遊び声。
柔道衣を着た子もいれば、普段着の子もいる。聞けば、普段着の子は道場の門下生ではなく、近隣の子供たちだという。
坂田道場はいつでも入り口が開けっ放しになっており、練習の時以外は、出入り自由の状態にしてあり、それを知っている近所の子供たちが、道場の天井から吊るされたロープにぶら下がったり、畳の上でじゃれあったり、遊び場にしているのだという。
鶴来坂田道場

練習が始まる前の道場は子供たちにとって最高の遊び場だ

道場に入ると、子供たちの元気な遊び声。
柔道衣を着た子もいれば、普段着の子もいる。聞けば、普段着の子は道場の門下生ではなく、近隣の子供たちだという。
坂田道場はいつでも入り口が開けっ放しになっており、練習の時以外は、出入り自由の状態にしてあり、それを知っている近所の子供たちが、道場の天井から吊るされたロープにぶら下がったり、畳の上でじゃれあったり、遊び場にしているのだという。
鶴来坂田道場
「小学校の近くに引っ越してきて、道場も開放しておけば、少しは入門者も増えるかと思ったんですが、なかなか増えませんねぇ」と笑顔を見せる創設者の坂田実師範。
「子供たちがロープにぶら下がって遊んだり、畳の上でゴロゴロと転がったりして、少しでも体力向上に役立てば、それはそれでいいじゃないですか。最近はそういう環境がどんどん減ってきていますから」。なんとも開放的な道場なのだ。

延々と続く基本練習

午後5時半くらいになると続々と子供たちが道場にやってくる。全員が道場の入り口で正座をして礼をし、入ってきて最初にすることが先生への挨拶。同時にお客さんや父兄たちにもきちんと挨拶を行う。実に礼儀正しい。日頃から普通に行われていることがよくわかる。しかし、練習が始まるまでは遊んでいても構わないということになっているようで、挨拶を済ませた後は、さっそく遊びの開始。満面笑顔の子供たちの大きな声が道場に響き渡る。


6時少し前、いよいよ練習のはじまり。道場の雰囲気は一変する。 坂田道場の練習は基本午後6時から8時30分。小学校の低学年は7時くらいに早上がりする。中学・高校生は学校の練習の後、7時~7時半くらいから集まってきて練習に合流する。


練習は、基礎トレーニングにじっくりと時間をかけているという印象が強い。準備体操代わりの一人足払い打ち込みも、移動しながらやったり回りながらやったり。そこから始まり、股割、柔軟、足蹴り、足回し、ブリッヂ、さらに受身もきっちりとやったあとに、前転、後転、ほふく前進、オットセイ、エビ、逆エビとみっちり30分以上を"基本"に費やす。


「基礎体力がないと柔道は伸びないですよ。逆に基礎をしっかりとやっていれば、気がついたら強くなっていたり、いつか花開く。低学年の子は、技の練習する時間もないから、今はあまり強くないかもしれないけど、次のステップに進んだ時に、違いがはっきりと出てきます。小学生の頃は柔道の基礎を作っている時期。長い目で見て、中学・高校で必ず芽が出ると思っています」(坂田実師範)


鶴来坂田道場
鶴来坂田道場
鶴来坂田道場



6時30分くらいから打ち込み。前の技、後ろの技。打ち込みにも1時間近く時間をかける。低学年の子は7時で終了。実師範の奥様である和枝さんらと車座になり、感謝の言葉とともに礼をする。お迎えに来ている保護者に対してもきちんと礼を行う。

鶴来坂田道場
鶴来坂田道場




低学年の子供達が練習を上がってからもしばらくは打ち込みが続き、 7時半くらいから約1時間、途中参加の中・高校生を交えて乱取りを行い一応、練習は終了。中学生・高校生はその後も1時間くらい残って練習するのが常のようだ。


高校生の中には、今年の高校選手権、インターハイで優勝した宮川拓美選手も混じっていた。「宮川は小学生の頃からよく練習していましたよ。女子では5、6年生と個人戦で優勝していたんですが、団体戦のメンバーからはずれてしまって。それが本当に悔しかったみたいで、そこからすごく伸びました。今でも、高校の練習の後にも来ますし、休みの日でも練習相手を連れて道場に来て練習していますよ」と和也さん。
世界2位になった金丸に関しては「あの子は力を抜くことができない子でね、練習のしすぎで救急車で運ばれたこともありました」と実師範。チャンピオンになった選手たちはやはり、なるべくしてなっているのだ。

鶴来坂田道場
鶴来坂田道場
鶴来坂田道場

現在の道場は84畳。約65人の道場生が汗を流している

モットーは「めざせ石川県一・日本一・そして世界一」

現在は、消防署にお勤めの和也さんが中心になって指導されており、道場の創設者である先代・実さんは師範として厳しくも温かい目で子供たちを見守っている。 そして館長であるお母様の静枝さん、娘の理恵さんも低学年や女子を中心に指導をし、当然のように、和也さんの2人の娘さんも道場生として練習している。


道場には「めざせ石川県一・日本一・そして世界一」というモットーが掲げられている。 26年前、32畳の道場でスタートした頃、「日本一をめざす」と口にすると、周囲からは笑われたという。 しかし、坂田道場は着実に力をつけて 、平成14年には団体で悲願の日本一になり、個人では幾人ものチャンピオンを輩出してきた。 目標は"世界"、そして"世界一"になり、ついに森下選手により"世界一"さえも現実のものとなった。


基本と礼儀を大切にしている鶴来坂田道場。
基本を徹底的にやったからこそ生まれた偉大なる先輩たちの功績。
今日練習している子供たちの中から第二の金丸や森下が生まれることも決して夢ではない。

鶴来坂田道場

館長の坂田静枝先生

鶴来坂田道場

指導者代表の坂田和也先生

鶴来坂田道場

師範の坂田実先生

道場の名称 鶴来坂田道場
道場の住所 石川県白山市知気寺町り9番地3
指導員 館長 坂田静枝(三段)
師範 坂田 実(六段)
代表 坂田和也(四段)
山崎 誠(四段)
染谷直美(三段)
坂田理恵(二段)
大谷英樹(二段)
お問い合わせ先 076-272-3131
練習場所 鶴来坂田道場
練習日 月曜・水曜・土曜
月 午後6:00~9:30
水 午後6:00~9:30
土 午後5:00~9:30
月謝 2年生以下 4000円
3~6年生 5000円
中学生 3000円